2012年10月12日

オスプレイって何がまずいんですか?

 最近、オスプレイという航空機についていろいろ騒がしくなっています。特に沖縄県では県民大会まで開催されるほどの反対ぶりで、私にはいささか奇異に映りました。
 沖縄の人々の苦しみは私たちには理解できないほどのものなのかもしれませんが、それでも批判を恐れず申しますと、やはり奇異なものであり少々不当な要求でもあると感じます。
 例えば、沖縄県知事は安全性が確認されない限り配備を認めないというような主張をしていますが、私にとっては度し難い不当な主張だと思います。以下にその理由を示します。

1.どうやって安全性を確認するのか
 安全性の確認、といっても知事はおそらく航空工学の専門家でもないしベテランのパイロットでもありません。航空機については単なるド素人です。その素人がどういった手段で安全性を確認するのでしょうか。専門家が安全であると意見を述べても「納得できない」と言い、危険性があるという意見には何の裏付けもなしに賛同する。記者会見などで「納得できない」を連呼しますが、ではどのようなデータを提示したら納得するのか全く明らかにしていません。これでは、安全性に懸念があるのではなくて、とにかく配備は反対だということになります。それならそう言えばよいのではないでしょうか。

2.本当に危険なのか
 オスプレイは開発当初から事故が続いて、その危険性が懸念されている・・・、とよく言われていますが、本当にそうなのでしょうか。事故率で見ると、オスプレイの安全性は平均的であると思われます。事故率ではなく、事故が起きたときの死者が多いということに懸念されている方もいらっしゃいますが、その尺度で言うなら最も危険な航空機は大型旅客機で、一人乗りの戦闘機が最も安全ということになってしまいます。反対するために都合の良い数字を引っ張ってくるのは、もはや議論ではなくケンカです。だいたい、オスプレイに乗るのは米軍の兵士達です。自国の兵士達をむやみに危険にさらすことは考えられません。日本人に安全性云々されても「大きなお世話だ」と感じているのではないでしょうか。

3.配備に反対する権限はあるのか
  先日、オスプレイの配備は戦力の強化が目的ではないか、と尋ねられました。これに対してはイエスでもありノーでもある、と答えました。
 イエスというのは、旧式の機材を新型に更新するのですから部隊の能力が向上してしまうのは当たり前であるという話です。ノーというのは、部隊編成を大幅に増強するわけではないという点です。部隊の任務や基本的な戦略に何も変化が無く、単なる機材の更新なのですから日頃のメインテナンスの拡大版みたいなものです。何かもの凄い戦略を隠していると考えるのは、いささかオタクっぽい感じがします。米軍にとって今回のオスプレイ配備はそれほど大げさな事ではないはずなのです。
 ところで地方自治体が国家の安全保障にかかる問題で、しかも自国でなく同盟国の装備の件に注文を付けるというのは正当な行為なのでしょうか。沖縄県知事は、日本国の安全保障についてどのような責任を取るつもりなのでしょうか。責任は取らないが邪魔はするというのであれば、それは地方自治体ではなく別の国として行うべきでしょう。琉球という独立国家になって自分自身で安全保障を確保すればよいのです。もっとも、東シナ海の対岸の国は琉球は自国の領土だと主張しているようですから、いつまで独立国でいられるかは分かりませんが。

 ここまで厳しい意見を述べましたが、そもそも沖縄の人々の反感を買っているのはオスプレイのことではなく、多数の基地を抱えることによる負担が大きいという点なのではないでしょうか。安全保障の恩恵は全国民が等しく享受するものです。しかし、そのための負担は主に沖縄が背負うというのでは、道理が通りません。
 では、全国各地に基地を分散して皆等しく負担を分かち合おうという話になるかというと、これは運用側つまり米軍の都合がまるで無視された話になります。軍事力とは、ただ必要な数がいればよいというものではありません。効果的に運用できない部隊は、いないのと同じ、いやそれ以上に悪い存在です。
 沖縄の人々の怒りに対して何を答え、負担に対してどう報いるのか。真剣に考えなければならない事なのに、マスコミはおもしろおかしく騒ぎ立てNHKですら不安をあおるような報道姿勢で騒動をかき回しているだけです。さらに政治家達は、反対運動が盛り上がるとみるや、これに悪のりして重要な軍事同盟に安易に爪を立てて、周辺国におかしなメッセージを拡散する始末です。
 沖縄の基地問題は、南の島で起きている他人の騒動と捉えるのではなく、日本に住む人々全てに関係する問題と考えるべきです。

 自分達の安全について真剣に努力しない国をいつまでも生かしておくほど、この世界は優しくありません。
posted by しらいし at 23:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 政治・行政
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